ホーム » データ基盤/Data Infrastructure

データ基盤/Data Infrastructure

概要

データ(Data)は、社会変革(Innovation)やデジタル変革(Digital Transformation)をもたらす最も重要な財である。私達は高度に発達した情報通信技術を用いることで、データの生成や蓄積、複製、伝達、分析や解析を、非常に低いコストで行うことが可能である。それによって Innovation の民主化の実現、つまり世界中のあらゆる人々に社会変革を実現するチャンスが与えられている。現代では、データの力を利用して、地球規模の問題から、日常生活の課題解決に至る、あらゆる問題解決に世界中が取り組んでいる。

我が国では、来たるデータ駆動型社会のモデルとして第五期科学技術基本計画より Society 5.0 を提唱しており、第六期でもそれが継続されている。Society 5.0 は、全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、私達の社会における経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会を目指している。経済面では世界における持続的で調和ある経済発展の実現に資すること、また国内の課題に着目すれば、少子高齢化や地方の過疎化、貧富の格差、自然災害やパンデミック防止といった持続可能な地域や国民の安全上の問題を解決することなどが期待されている。そのためには、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)の膨大なビッグデータを、国内外のあらゆる分野やステークホルダの壁を越えて連携させ、信頼性のある自由なデータ流通(DFFT: Data Free Flow with Trust)を実現することが不可欠である。そこでは更にデータ流通のオープン性や透明性、相互運用性、プライバシーやセキュリティーの実現、データの品質保証、高い利便性の実現が必要である。


DATA-EX

我が国では既に、政府自治体や企業、大学や研究所等の学術機関などにおいて、データ流通・利活用に取り組まれ、各分野の中では一定のデータ流通・利活用が進んでいる。そこで、越塚研究室ではDATA-EXのコンセプトを提唱し、分野を越えたデータ流通や利活用のための技術的・社会的プラットフォームを提供し、データ流通・利活用に取り組む主体が抱える課題にチャレンジしている。

具体的には、分野の壁を越えたデータ発見の容易化、多様なデータ駆動型サービスを連携させる高い相互運用性、社会実装・国際展開の促進を実現することを目指す。アーキテクチャとして、各分野におけるデータ流通の仕組みを最大限尊重し、各分野の特性にあわせて分散的に連邦化するアーキテクチャとして、ビルディング・ブロックス型をとる。DATA-EX は、技術面・制度面・人材面で産官学民の英知を結集し、一体となってデータ流通・利活用に係る課題を解決するとともに、Society5.0 を深化させることで、国内のみならず世界の未来に貢献する。

【関連項目】

【関連記事】

  • 越塚登:「デジタル庁創設の課題(上):20年先を見据えた戦略を」, 経済教室、日本経済新聞 朝刊、2020年11月5日.
    https://www.nikkei.com/article/DGXKZO65868620V01C20A1KE8000/
  • 越塚登:「巻頭言:DFFT(Data Free Flow with Trust)実現に向けた基盤の実現にむけて」, DTA Report 2019-2020, 一般社団法人データ流通推進協議会(DTA), 2020年10月.
  • 越塚登:「データ駆動社会の展望(上) データ連携の基盤作り急務」, 経済教室、日本経済新聞 朝刊、2019年7月17日.
    https://www.nikkei.com/article/DGXKZO47380610W9A710C1KE8000/
  • 「分野間データ連携基盤構築に向けたdataex.jpの取組みについて東京大学越塚教授から聴く:デジタルエコノミー推進委員会データ戦略WG・国際戦略WG」, 週刊経団連タイムズ No.3477, 2020年11月26日.
    https://www.keidanren.or.jp/journal/times/2020/1126_07.html

公共交通オープンデータ

本研究では、公共交通に関する「オープンデータ」を核とし、先進的な次世代公共交通情報サービスの構築、およびその標準プラットフォームの研究開発、公共交通政策提言を実施しています。

  • 公共交通事業関連データ提供(オープンデータ)のワンストップサービスの実現
  • 公共交通情報の標準プラットフォーム構築(IPTS: Intelligent Public Transportation System)
  • 身体障碍者や外国人など、多様な利用者への情報提供方式の研究開発
  • 駅などの交通ターミナルにおける測位インフラの標準化・普及
  • 鉄道・バス・航空機・タクシー間の情報連携の実現

【関連項目】

  • 公共交通オープンデータ協議会(odpt.org
  • 河口 大輝 :「リアルタイム列車位置情報を用いた遅延予測」,  卒業論文2017年1月.

公共(政府・自治体)オープンデータ

社会を形作る様々なプレイヤが自分のもつデータを公開することで、相乗効果的に社会の問題解決や新たな価値創出を実現する、オープン・データに関する研究を行っています。Government 2.0の実現へ向けた政策的な提案や、オープン・データを実現する仕組みの技術面の設計、さらにオープン・データが実現する新たなアプリケーションの構築に至るまで、幅広く研究活動を実施しています。

【研究成果】

  • Takahiro Sumitomo and Noboru Koshizuka: “Progress and Initiatives of Open Data Policy in Japan”, IEEE Computer, Vol. 51, No. 12,, Special Issue: Governments in the Age of Big Data and Smart Cities,  December 2018.
    https://www.computer.org/csdl/magazine/co/2018/12/08636472/17D45WYQJ7q
  • 平本健二,加藤文彦,越塚登, 萩野達也:「パネル討論:オープンデータ活用の今後の展開と課題」, 情報処理学会デジタルプラクティス, Vol. 9, No. 1, Jan. 2018.
    https://www.ipsj.or.jp/dp/contents/publication/33/S0901-IV.html
  • 永田諒:「ブロックチェーン基盤を利用した、オープンデータカタログアプリケーションの作成」, 卒業論文2019年1月.
  • 元尾 健太:「分散型台帳技術を用いたオープンデータカタログシステムの提案」, 卒業論文2017年1月.

【関連項目】

  • 一般社団法人 オープン&ビッグデータ活用地方創生推進機構(VLED)(http://www.vled.or.jp/
    • 越塚が理事として参画しています。
  • 東京大学オープンデータセンター

コネクティッドインダストリー/Connected Industry

IoTや自動化技術、ネットワーク技術などを用いて、製造業とITが融合したあたらしい社会や社会をデザインするための研究を行っています。

【研究成果】

  • 木下貴文:「工場間連携のためのデータ変換機構」, 修士論文2019年1月.

【関連項目】

  • インダストリアルバリューチェーンイニシアチブ(IVI)(https://iv-i.org/
    • 越塚が学術会員として参画しています。

パーソナルデータ管理/Personal Data Management

個人情報やパーソナルデータを適正に利活用して、社会課題の解決や生活の利便性の向上に役立てることができるデータ管理の仕組みやその応用に関して研究しています。

【研究成果】

  • 永山大輔, 住友貴広, 越塚登: 「災害時利用を想定したPersonal Data Storeを基盤とした電子母子手帳の開発」, 第17回情報科学技術フォーラム、FIT 2018, 情報処理学会, 2018.
  • 永山大輔:「被災時利用を想定した電子母子手帳の開発」、修士論文2019年1月.
    Daisuke Nagayama: “Electric Maternal, Child and Doctor Handbook for Disaster Preparedness”

【関連項目】

  • PDS: Personal Data Store
  • 一般社団法人日本IT団体連携情報銀行推進委員会(https://www.tpdms.jp/index.html
  • 一般社団法人IoTサービス連携協議会(AIoTS)(https://www.aiots.org/
  • 電子母子手帳の研究(日本医科大学との共同研究)

 

アクセス

住所
東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院情報学環
ダイワユビキタス学術研究館