(2020年6月1日)気象庁長官表彰

令和2年6月1日(月)の第145回気象記念日におきまして、越塚が気象庁長官表彰(気象ビジネス推進コンソーシアムを通じた民間における気象データ利活用の推進に寄与した功績)をいただきました。新型コロナウィルス感染予防の観点から、記念式典は行わず、気象庁の皆様より賞状を頂戴いたしました。今後も、気象ビジネス推進コンソーシアムを通じて、気象データの利活用の促進に微力ながらお役にたちたいと思います。

報道発表
https://www.jma.go.jp/jma/press/2005/29a/145kai-kinenbi.pdf

気象ビジネス推進コンソーシアム(WXBC)
https://www.wxbc.jp

AIと電力データを用いたフレイル検知実証

 

Vision

地域が抱える介護予防の課題解決を支援するべく、漏れのないフレイル簡易判定技術の社会実装を目指します。

フレイル・・・ 健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態。適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があることから、フレイルの早期発見、早期対応が重要なものとなっている(1)。

課題と背景

増加する介護給付費と独居高齢者

NIRA 総合研究開発機構によると、2035 年の介護給付額は 22.4 兆円に登り、2016 年の 9.6 兆円からその負担額は倍以上となっています(2)(3)。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、独居高齢者の割合が年々増加し、同年には高齢世帯の約4割が独居世帯になるとされています(4)(5)。早期のフレイル発見・対応のために自治体を始めとした様々な努力がなされている一方、独居の高齢者が拡大する中で、全ての高齢者に対し、フレイル発見を漏れなく行うことは困難を伴う課題となっていました。

解決策

AIと電力データによる検知

越塚研究室では、スマートメーターから取得可能な電力データや各種センサデータと AIを用いて、特に単身高齢者に対するフレイルの簡易判定を行う技術検討を進めています。これまでもセンサデバイスや専用の通信機を用いてフレイルの判定を行う研究は存在しておりましたが、本手法によって、より簡易かつ漏れのないフレイル検知が実現できると期待しています。

スマートメーター ・・・ 毎月の検針業務の自動化や HEMS(Home Energy Management System)等を通じた電気使用状況の見える化を可能にする電力量計。中部電力管内では 2022 年度末 までに全家庭への設置が完了予定。

実証方法

「東大・三重連携 介護予防に向けた AI・データ活用研究会」(下記の「研究会委員」を参照)と連携して、三重県東員町にてフレイル検知の実証実験を行います。本実験では、約 30 世帯の単身ご高齢者世帯にスマートメーターとの通信用ゲートウェイ機器と市販のセンサを設置し、データを収集します。実験期間は令和2年度の 1 年間を予定しています。

研究会委員

東大・三重連携 介護予防に向けたAI・データ活用研究会

    • 越塚  登(東京大学 大学院情報学環 教授)
    • 松原  宏(東京大学 地域未来社会連携研究機構 機構長・教授)
    • 飯島 勝矢(東京大学 高齢社会総合研究機構  副機構長・教授)
    • 西村 訓弘(三重大学 副学長・ 教授)
    • 水谷 俊郎(東員町 町長)
    • 福井 敏人(三重県 医療保健部長)
    • 佐々木克之(合同会社ネコリコ 代表社員職務執行者)
    • 加藤エルテス聡志(株式会社日本データサイエンス研究所 代表取締役社長)

報道資料

越塚研究室事務局

    • 大杉慎平
    • 金岐俊
出典
(1) 厚生労働省, 中長期的視点に立った社会保障政策の展開, 2015
(2) NIRA 総合研究開発機構, 社会保障に係る費用の将来推計の方法及び手順について, 2018
(3) 厚生労働省老健局, 介護費の動向について, 2016
(4) 国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2018(平成 30)年推計
(5) 内閣府 平成29年度版高齢社会白書

スマートシティシンポジウムにパネリストで登壇

2020年1月20日に開催された、日経でのスマートシティ、バルセロナ市をめぐる話題でのシンポジウムで、越塚教授がチェアしたパートがこれです。

https://channel.nikkei.co.jp/d/?p=20200120smartcity&s=1957

「AIと電力データを用いたフレイル検知」2020年に実証実験

2020年1月10日

各位

東京大学大学院情報学環
越塚登研究室

 

要介護状態になる前にAIが検知、予防の可能性も
「AIと電力データを用いたフレイル検知」2020年に実証実験
「東京大学・三重県連携協定」のもと、関係者で研究会を設立

 

東京大学大学院情報学環 越塚登研究室は、合同会社ネコリコ(以下「ネコリコ」)ならびに株式会社日本データサイエンス研究所(以下「JDSC」)と共同で、AIと電力データを用いたフレイル検知に関する実証実験を、2020年に三重県東員町において実施することとなりました。

本実験は、「東京大学と三重県との連携・協力に向けた協定」に基づいて、2020年1月21日設立予定の「東大・三重連携 介護予防に向けたAI・データ活用研究会」(会長:越塚登 東京大学大学院情報学環教授)と連携し、東京大学地域未来社会連携研究機構(松原宏・機構長・教授)、東京大学高齢社会総合研究機構(飯島勝矢・副機構長・教授)、三重大学(西村訓弘・副学長・教授)、三重県、東員町が参画して、東員町における2020年中の実施に向けて共同実験を進めてまいります。

“フレイル”と地域の課題

“フレイル”は、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指します。適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があることから、フレイルの早期発見、早期対応が重要なものとなっています。(参考:厚生労働省)

総合研究開発機構によると、2035年の介護給付額は22兆円に登り、2015年の9.9兆円からその負担額は倍以上となっています。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、独居高齢者の割合が年々増加し、同年には高齢世帯の約4割が独居世帯になるとされています。

早期のフレイル発見・対応のために自治体を始めとした様々な努力がなされている一方、独居の高齢者が拡大する中で、全ての高齢者に対し、フレイル発見を漏れなく行うことは困難を伴う課題となっていました。

AIと電力データを用いたフレイル検知技術

東京大学大学院情報学環越塚登研究室とネコリコ、JDSCの3者は2019年4月より、電力データを活用したスマートホームソリューション高度化に関する技術の共同研究の下で、スマートメーター(※注)から取得可能な電力データや各種センサデータとAI(人工知能)を活用し、ご家庭の見守り等に資する技術を研究開発してまいりました。特に単身高齢世帯に対し、AIが電力データなどの各種データから、フレイルの簡易判定を行う技術検討も進めてきました。本技術の共同実証を通じ、漏れのないフレイル早期発見を実現し、地域が抱える介護予防の課題解決を支援するべく、本技術の社会実装を目指して取り組みます。

※注 スマートメーターとは、インターネットに繋がった電力メーター。中部電力管内では2022年に全家庭への設置が完了予定。

東京大学と三重県との連携・協力に向けた協定について

東京大学と三重県は、2019年7月より、「東京大学と三重県との連携・協力に向けた協定締結の合意」(以下、東大・三重県連携協定)の下、東京大学地域未来社会連携研究機構のサテライト拠点を三重県内に設置し、地域の課題対応のための学術研究の推進、人材交流・育成、学術成果の社会実装に取り組んでいます。今回の実証実験も、東大・三重県連携協定に基づいた取り組みとなり、実証実験を東員町で実施することで、得られた知見を地域課題解決につなげていきます。

三重県東員町における実証実験について

本実験では、将来の地域におけるフレイル発見の課題解決に資するよう、住民の方々へのご説明、および実験参加者の募集を通じて、約30世帯の単身ご高齢者世帯にご協力を募ります。実験中、各ご家庭にスマートメーターとの通信用ゲートウェイ機器と市販のセンサ(モーション、CO2等)が設置され、データを収集します。実験期間は令和2年度の1年間を予定しています。なお、本実験は、個人情報保護法に則った実験参加合意書への同意に基づいて行われ、また、実験参加者の希望により、いつでも各世帯でのデータ収集を中止することができます。

 


「介護予防に向けたAI・データ活用研究会」

目的

  • AIと電力データを用いたフレイル検知実証の推進
  • フレイル検知とその後の介護予防にまつわる地域課題の解決に向けた検討

研究会委員

  • 越塚  登(東京大学 大学院情報学環 教授)
  • 松原  宏(東京大学 地域未来社会連携研究機構 機構長・教授)
  • 飯島 勝矢(東京大学 高齢社会総合研究機構  副機構長・教授)
  • 西村 訓弘(三重大学 副学長・ 教授)
  • 水谷 俊郎(東員町 町長)
  • 福井 敏人(三重県 医療保健部長)
  • 佐々木克之(合同会社ネコリコ 代表社員職務執行者)
  • 加藤エルテス聡志(株式会社日本データサイエンス研究所 代表取締役社長)

合同会社ネコリコについて

ネコリコは、中部電力株式会社と株式会社インターネットイニシアティブの合同会社として、暮らしを便利 で快適にする IoT プラットフォームの提供を目的に 2018年4月に設立。現在、ホーム IoT サービス「ネコリコホームプラス」を提供しています。

株式会社 日本データサイエンス研究所(JDSC)について

JDSCは、物流最適化や需要予測、教育など、基幹産業を中心とした幅広い分野で、アルゴリズムモジュールの開発とライセンス提供事業、ITシステムの開発と運用事業、データサイエンスに関する顧問・コンサルティング事業を行っており、日本の産業のアップグレードを目指しています。


[お問合先]

東京大学大学院 越塚登研究室 担当 広報 press@koshizuka-lab.org


 

 

JISA講演会資料

12月18日実施の、JISA Software Innovation Symposium 2019における講演、「DX時代のデータ利活用: OpenIoTを活用した人材育成や地域が抱える課題解決について」の資料をここにアップロードしました。

Asia Open Data Partnership 2019を開催、アジアオープンデータ憲章を採択

アジア・オープンデータ・パートナーシップを開催しました。本サミットは、アジア・オープンデータ・パートナーシップの活動の一環として実施しておりましております。これは、2015年より開催され、今回で5回目の開催となります。アジア・オープンデータ・パートナーシップは、アジア各国が、オープンデータの実施のための国際連携を深めることを目的として活動しており、本日はアジアの11の国と地域、日本、台湾、韓国、インド、インドネシア、マレーシア、ベトナム、カンボジア、ミヤンマー、フィリピン、タイから、オープンデータを第一線で取り組んでおられる専門家の皆様にお越し頂いて実施しております。

■ウェブページ

http://www.vled.or.jp/2019IODsummit/

■ビデオ(開会挨拶)

■報道

https://it.impressbm.co.jp/articles/-/18678

データ駆動型農業(高知県)、ナスの収量予測

情報学環と高知県は、2018年5月に協定を締結し、IoT等の先端情報通信技術を用いた、地域課題の解決や地方における産業創造などの研究教育に共同でとりくんでいます。こうした協定に基づいた活動の一環として、2018年より、高知県農業技術センターと情報学環・越塚研究室が共同で、ナス栽培における生育データや環境データなどを学習させたAIエンジンを開発し、なすの出荷数の予測精度を向上させるプロジェクトが生まれました。

なすは、高知県における主要な園芸作物の一つであり、出荷時期の調整や予測がうまくできれば、よい契約条件下での出荷に直結できます。しかし出荷時期の調整や予測は農家の方々にとっても難しい問題でした。そこで、今回、データを駆使してこの問題を解決するAIエンジンの開発に取り組んだのです。

この出荷予測AIエンジンを開発するため、農業技術センターでは環境データや気象データ、生育データ、収量データを提供し、越塚研究室の崔鐘文氏(学際情報学府総合分析情報学コース修士2年)がこれらのデータを学習させたAIエンジンを開発しました。これまで、開発したAIエンジンと、実際にナス栽培をしている農業技術センター研究員(浅野雄大氏)が、2週間後の収穫果数を予測し、どちらが実数に近いかを比較する予測会を、2019年3月、5月と2回実施し、その都度誤差分析を行い、方式の改善と予測精度の向上を図ってきました。

こうした、ナスの出荷数予測プロジェクトの集大成として、2019年6月27日、高知県農業技術センターで、なすの環境データと生育データを解析し、収量を予測してくれるAIエンジンを用いて、「なすの収量予測対決」を行いました。

結果は、6/21、24、26の3日間の収穫量予測は、AIが20個、研究員が18個でした。実際の収穫量は、21個でした。これによって、若干ではありますが、対決の結果として、AIの勝ちとなりました。

越塚研究室で、この予測に取り組みはじめて約半年、それで、農業技術センターのなすづくりの名人の予測と同程度、または対決の結果としては勝つことができたことは特筆に値すると思われます。研究員の長年の知見とほぼ同等の結果を半年で、しかもデータだけから得られました。この手法は、他の作物にも適用できるのではないかと思います。

*なお、本イベントは以下で報道されました。

インプレスDigital X: ナスの収量予測でAIと人が初対決、データ駆動型園芸農業を推進【高知県IoT推進ラボ】
– NHK(高知)「AIと人が対決!ナス収穫数予測」(2019年6月27日)
– テレビ高知「ナスの収量予測でAIと人間が対決」(2019年6月27日)
– 共同通信「AIが初勝利、ナス収穫の予想:高知、研究員と3度目対決」(2019年6月27日)
– 高知新聞「ナス収量予想はAIに軍配 東大院開発 高知県職員と精度競う」(2019年6月27日)

ネコリコ社、日本データサイエンス研究所と実証実験・研究における3者提携

中部電力とIIJによる合同会社ネコリコ社と(株)日本データサイエンス研究所、ならびに東京大学越塚研究室は、この度、スマートホームソリューションの高度化に資する、電力データ活用のための実証実験・共同研究において技術提携をすることを合意致しました(2019年4月24日)

越塚登教授が、「micro:bitで作ってみよう!キッズプログラミングコンテスト」 の審査員を務めました。

越塚登教授が、「micro:bitで作ってみよう!キッズプログラミングコンテスト」
(主催:NECパーソナルコンピュータ株式会社、レノボ・ジャパン株式会社, 2019年4月3日)の審査員を務めました。
EdTechZine記事
インプレス記事
NEC LAVIE公式サイト

東京大学⼤学院情報学環オープンデータセンター(UTODC)と台湾ODA(Organization for Data-driven Application)がMoUを締結しました(2019年3月27日)

2019年3月27日、東京⼤学⼤学院情報学環オープンデータセンター(センター長:越塚登、以下、UTODC)は、台湾ODA(Organization for Data-driven Application、Chairman: Dr. Chi Ming Peng)はアジアにおけるデータ駆動型経済の発展に寄与するための連携を行うことに合意し、MoU(Memorandum of Understanding)を締結いたしました。

締結式は、台湾台北市で開催されている、アジア最大のSmart Cityイベントである、2019 Smart City Summit and Expoにおいて実施され、台湾におけるIoTやSmart City、Open Dataに関する多くの関係者が列席するなか、越塚登教授・UTODCセンター長と、Chi Ming Peng博士・ODA Chairmanとの間で署名を行いました。

 

アクセス

住所
東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院情報学環
ダイワユビキタス学術研究館