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AIと電力データを用いたフレイル検知実証

 

Vision

地域が抱える介護予防の課題解決を支援するべく、漏れのないフレイル簡易判定技術の社会実装を目指します。

フレイル・・・ 健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態。適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があることから、フレイルの早期発見、早期対応が重要なものとなっている(1)。

課題と背景

増加する介護給付費と独居高齢者

NIRA 総合研究開発機構によると、2035 年の介護給付額は 22.4 兆円に登り、2016 年の 9.6 兆円からその負担額は倍以上となっています(2)(3)。また、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、独居高齢者の割合が年々増加し、同年には高齢世帯の約4割が独居世帯になるとされています(4)(5)。早期のフレイル発見・対応のために自治体を始めとした様々な努力がなされている一方、独居の高齢者が拡大する中で、全ての高齢者に対し、フレイル発見を漏れなく行うことは困難を伴う課題となっていました。

解決策

AIと電力データによる検知

越塚研究室では、スマートメーターから取得可能な電力データや各種センサデータと AIを用いて、特に単身高齢者に対するフレイルの簡易判定を行う技術検討を進めています。これまでもセンサデバイスや専用の通信機を用いてフレイルの判定を行う研究は存在しておりましたが、本手法によって、より簡易かつ漏れのないフレイル検知が実現できると期待しています。

スマートメーター ・・・ 毎月の検針業務の自動化や HEMS(Home Energy Management System)等を通じた電気使用状況の見える化を可能にする電力量計。中部電力管内では 2022 年度末 までに全家庭への設置が完了予定。

実証方法

「東大・三重連携 介護予防に向けた AI・データ活用研究会」(下記の「研究会委員」を参照)と連携して、三重県東員町にてフレイル検知の実証実験を行います。本実験では、約 30 世帯の単身ご高齢者世帯にスマートメーターとの通信用ゲートウェイ機器と市販のセンサを設置し、データを収集します。実験期間は令和2年度の 1 年間を予定しています。

研究会委員

東大・三重連携 介護予防に向けたAI・データ活用研究会

    • 越塚  登(東京大学 大学院情報学環 教授)
    • 松原  宏(東京大学 地域未来社会連携研究機構 機構長・教授)
    • 飯島 勝矢(東京大学 高齢社会総合研究機構  副機構長・教授)
    • 西村 訓弘(三重大学 副学長・ 教授)
    • 水谷 俊郎(東員町 町長)
    • 福井 敏人(三重県 医療保健部長)
    • 佐々木克之(合同会社ネコリコ 代表社員職務執行者)
    • 加藤エルテス聡志(株式会社日本データサイエンス研究所 代表取締役社長)

報道資料

越塚研究室事務局

    • 大杉慎平
    • 金岐俊
出典
(1) 厚生労働省, 中長期的視点に立った社会保障政策の展開, 2015
(2) NIRA 総合研究開発機構, 社会保障に係る費用の将来推計の方法及び手順について, 2018
(3) 厚生労働省老健局, 介護費の動向について, 2016
(4) 国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2018(平成 30)年推計
(5) 内閣府 平成29年度版高齢社会白書

アクセス

住所
東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院情報学環
ダイワユビキタス学術研究館