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データ駆動型農業(高知県)、ナスの収量予測

情報学環と高知県は、2018年5月に協定を締結し、IoT等の先端情報通信技術を用いた、地域課題の解決や地方における産業創造などの研究教育に共同でとりくんでいます。こうした協定に基づいた活動の一環として、2018年より、高知県農業技術センターと情報学環・越塚研究室が共同で、ナス栽培における生育データや環境データなどを学習させたAIエンジンを開発し、なすの出荷数の予測精度を向上させるプロジェクトが生まれました。

なすは、高知県における主要な園芸作物の一つであり、出荷時期の調整や予測がうまくできれば、よい契約条件下での出荷に直結できます。しかし出荷時期の調整や予測は農家の方々にとっても難しい問題でした。そこで、今回、データを駆使してこの問題を解決するAIエンジンの開発に取り組んだのです。

この出荷予測AIエンジンを開発するため、農業技術センターでは環境データや気象データ、生育データ、収量データを提供し、越塚研究室の崔鐘文氏(学際情報学府総合分析情報学コース修士2年)がこれらのデータを学習させたAIエンジンを開発しました。これまで、開発したAIエンジンと、実際にナス栽培をしている農業技術センター研究員(浅野雄大氏)が、2週間後の収穫果数を予測し、どちらが実数に近いかを比較する予測会を、2019年3月、5月と2回実施し、その都度誤差分析を行い、方式の改善と予測精度の向上を図ってきました。

こうした、ナスの出荷数予測プロジェクトの集大成として、2019年6月27日、高知県農業技術センターで、なすの環境データと生育データを解析し、収量を予測してくれるAIエンジンを用いて、「なすの収量予測対決」を行いました。

結果は、6/21、24、26の3日間の収穫量予測は、AIが20個、研究員が18個でした。実際の収穫量は、21個でした。これによって、若干ではありますが、対決の結果として、AIの勝ちとなりました。

越塚研究室で、この予測に取り組みはじめて約半年、それで、農業技術センターのなすづくりの名人の予測と同程度、または対決の結果としては勝つことができたことは特筆に値すると思われます。研究員の長年の知見とほぼ同等の結果を半年で、しかもデータだけから得られました。この手法は、他の作物にも適用できるのではないかと思います。

*なお、本イベントは以下で報道されました。

インプレスDigital X: ナスの収量予測でAIと人が初対決、データ駆動型園芸農業を推進【高知県IoT推進ラボ】
– NHK(高知)「AIと人が対決!ナス収穫数予測」(2019年6月27日)
– テレビ高知「ナスの収量予測でAIと人間が対決」(2019年6月27日)
– 共同通信「AIが初勝利、ナス収穫の予想:高知、研究員と3度目対決」(2019年6月27日)
– 高知新聞「ナス収量予想はAIに軍配 東大院開発 高知県職員と精度競う」(2019年6月27日)

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